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2012年10月30日火曜日

新潟ドクターヘリ

平成24年10月30日ついに新潟ドクターヘリが運航開始になる


基地病院ヘリポートで

要請をうけて基地病院である新潟大学医歯学総合病院のヘリポートから5分以内で離陸する

時速200kmの究極のドクターデリバリーシステムで、治療開始までの時間を大幅に短縮できる

救命できる症例が増えるであろう


私もこの度新潟ドクターヘリ事業に参加させて頂くことになった  関係各位に感謝



新潟市上空
訓練で飛行したがそのスピードには驚くが、さらに驚くのは新潟県の大きさである。

村上市旧山北町まで約20分、魚沼や十日町まで30分近くかかる

糸魚川に至っては50分だ

事故発生から2時間以上たって十日町病院に到着している重傷傷病者がいたが、これからはヘリが飛びさえすれば時間がグッと短縮できる



尚、ドクターヘリの要請は消防からのみ可能で、一般市民からは要請できない

消防もしばらくは新しい選択肢に悩むことであろう



八海山をバックに飛び立つ(私が搭乗している)


個人的にはスピード、スキルを磨き、職務を全うしたいと考えている




2012年8月26日日曜日

医学生実習

8月の某日、医学部の学生さんたちが当院に1日間の実習にやってきた

今年は4名で、順天堂大医学部の県の奨学生や、新大地域枠、自治医大の1~3年生だ

いわゆるひも付きの医学生で、在学中は金銭的な補助が受けられるが、卒業後は一定の義務が課せられる

10年後くらいには県内でバリバリ働いているであろう 将来が楽しみな学生たちだ

外来や救急外来、手術室で医師の仕事を見学してもらった

1~3年生くらいだと基礎医学が中心であまり見たことのない世界であったかもしれない

後日感謝の手紙を学生さんから頂戴した 

読んで感動してしまった

許可を得たわけではないが一部を紹介する

”・・・・などは普通1年生ではとても見ることのできないものであり、大変貴重な経験となりました。それと同時に、十日町病院の皆さんが、忙しい中でも緊密な関係を築き、連絡をとりあい、様々な職種の方がそれぞれの長所を活かして、恵まれているとは言いきれない環境の中で、チームとして患者さんのためによりよい医療、現場を作りあげていらっしゃる様子は私に大きな影響を与えました。また医療従事者同士の絆だけでなく、皆さんと患者さんとの間にも絆を感じ、暖かい気持ちになりました。早く私もこのような現場に関わりたいと思いました。

今までも地域医療に携わりたいと考えていましたが、大きな不安もありました。しかし今回の実習で、地域医療に携わることが出来る喜び、そして期待の方が大きくなりました。まだまだ時間はかかりますが、大学で一生懸命医学の基礎を学ぶと同時に、様々な経験を通して自分の目指す医師像とは何かをとことん追求し、人間の幅を広げ、そして何より体力をつけて、早く現場に活きる人材になれるよう努力していきたいと考えています。私も早く新潟の医療を支える一人になりたいです。・・・・

初心を忘れないように  むしろ学生さんたちからこちらが教わったのかもしれない




2012年5月25日金曜日

八箇峠トンネル爆発事故

工事中の八箇峠トンネルで5月24日午前10時30分ころ爆発事故が発生

このトンネルは十日町と南魚沼を最短距離で結ぶ夢の大動脈道路になるはずであった

事故を受けて、当病院のDMATは初期から待機要請がかかる

同日午後6時過ぎに出動要請


私と看護師児玉、嶋田それに消防から2名の隊員と消防の車両で出動

現地には午後7時半過ぎに到着、麓ではマスコミが取材をしている

実際の事故現場はそれから3km山中に入ったところで、かなり山奥だ

ドコモは圏外、auは使用可能

衛星携帯を持参しなかったことを反省する

国土交通省の車両が放つ明るい照明



トンネルから狭い扇型状に資材やヒモ、ブルーシートなどが無残に飛び散っている

トンネル内部は当初酸素濃度13%、CO濃度、可燃ガス濃度が非常に高く危険であったという



トンネルの横側から





現在もまだCO濃度は非常に高い

送風機による換気がが進められている


大型の送風機が設置される前



5月25日午前1時30分巨大なホースをつなぎ送風作業中




折りたたまれたビニールのホース 非常に重い
これを少しずつ深部へと継ぎ足していく過酷な作業である



夜間もずっと続く作業は困難を極める

CO濃度は依然として下がらずトンネル内の作業が行えない時間が続く

南魚沼、長岡、新潟市消防の救助隊もトンネルから出てくるたびに泥だらけになっている






無残にも葉をもぎ取られた木々が痛々しい



無残に変形、泥まみれになったスコップ


散乱する資材のかけら



2次災害も起こるかも知れず非常に危険な作業である

空気ボンベも大量に用意してあると聞く


トンネル内に突入する救助隊


トンネルから100m以上はある対岸の山肌に無数のゴミが吹きつけられているが見える


吹きつけられたブルーシートなどのゴミ


随分離れた、トンネルから直線上の場所に無残につぶれた車両がある

どこから飛ばされたのかもわからない

巨大な大砲がさく裂したようだ

無残な車両、どこから飛んできたのか

25日8時30分過ぎに長岡赤十字DMATに申し送りをして、撤収する




トンネルから200m以上離れているが資材が散乱


100mほど離れた一段下がった場所


トンネル反対側の被害は小さい 上の写真と同じ車両



一夜明け疲労もたまる救助隊員


作業を見守るDMAT隊員

2012年5月6日日曜日

偶発性低体温症その1

GW中に北アルプスで遭難事故が相次ぎ、8名が低体温症で死亡した


FNNニュースより


しかし低体温症はもっと身近でも発生している


独居の男性、冬期に自宅で石油ストーブの燃料が切れてしまい、そのまま意識をなくした

訪ねてきた人が家の中で倒れているのを発見し、救急搬送された

明らかに体が冷たい 意識はなく呼吸はあるが徐脈で、血圧が低い

深部体温は28℃以下

高度偶発性低体温症で非常に危険な状態だ

すぐさま加温輸液を開始

間もなく心室細動になり、心肺停止となった

電気ショックも高度の低体温症では効果は期待できない

心肺蘇生を開始した

簡易浴槽を組み立て、中に湯を注ぎ貯まるのを待った

準備ができ次第、患者を移した


スチール棚の枠にブルーシートをかぶせた簡易浴槽


湯温は42℃で加温をしながら、蘇生を続けた

しかし深部体温はほとんど上昇しない

結局自己心拍は再開しなかった







2012年4月2日月曜日

ボタン電池の旅

小児の異物誤飲のなかで、ボタン電池は注意しなければならない

食道や胃内で停滞した場合には消化管穿孔の可能性があるからだ

一晩かけて排泄されたボタン電池

写真は誤って飲んでしまったボタン電池

病院でレントゲンを撮ったときには既に胃を通過し、小腸内にあった

翌日、無事大便と一緒に排泄された

飲んだときにはピカピカであったはずの電池はすっかりサビだらけになっていた

胃酸などの消化液のためばかりではなく、その放電による影響が大きいと思われる

わずか一晩でこのように変わり果てた姿になり、まるで玉手箱を開けた浦島太郎だ

2012年2月7日火曜日

地底からの救出劇 その2

救助は道路から真下へ垂直に降下するルートと、う回路を通るルートに分かれた

さすがに40m下は道路からの投光機の光もかすかになり、地底という表現がピッタリであった

事故車両のけたたましく鳴り続けるクラクションのため、傷病者との会話が難しく当初3名の要救助者は実は4名であった

2ルートからの救出であったがために現地本部での情報が一部錯綜した


崖下は光もかすかな地底状態


幸いにして生命の危険のある傷病者はいなかったが、ひとつ間違えば大惨事であった

一番の重傷者は車外に放り出されていた

たまたまガードレールの途切れているところから居眠り運転の車両が落下したとのことであった





道路からは救助隊、救急隊が小さく見える


普段みることのできない貴重な救出現場に立ち会うことができた

私と看護師1名はトリアージ順位1位の負傷者に取りつき、観察と処置をしながら病院へと向かった



   

2012年1月24日火曜日

ジョニー

平成24年1月21日深夜、神戸市消防局の金谷謙児救命士が出動中にクルマにはねられ殉職した



救急隊員はねられ死亡 神戸
NHKニュースより



ニックネームはジョニーでいつも笑顔のさわやかなナイスガイであった

ジョニーに初めてあったのは2年前の富山ITLSコースだった

私は受講生で、新潟がんセンター看護師のMさんと岐阜高山日赤の看護師のKさんと同じ班であった

ジョニーはこの班のチューターであった

チューターは時間どおりにプログラムが消化できるように、受講生を次の講義、実習会場へと導く役目だ


ジョニーのチューターは抜群に輝いていた

1 受講生を安心・リラックスさせるようにいつも穏やかでにさりげない一言を添えた

2 インストラクターが見逃したような、ちょっとした良いことを ”そこはすごく良かった”とほめた

3 昼食のときに”いっしょに弁当食べようよ”と班のみんなを呼び、自分のi podで音楽をかけた

4 インストラクターが指摘した順番の間違い
  ”山口さんはいつもその順番でしているからそれは問題ないよ”とフォローしてくれた

5 受講生の普段の仕事の内容を聴き、共感してくれた

活字にしてしまうと、たわいもないかもしれないが・・

ジョニーの熱い情熱が私たちに伝わってきていた

富山から帰ったあと、ジョニーのチューターはすごかったの話をみんなにした

ジョニーの話を何回もするから、彼に会ってみたいと思っていたスタッフはたくさんいただろう


今日、そのジョニーの突然の訃報を聞いた

ご冥福をお祈りする